航空大学校受験NET 掲載用/受験生向け詳細解説
出典:令和6年度入学試験問題「総合 Part II」(問21〜問45・全25問・150点)
構成:問21〜24=社会・時事/問25〜26=地学/問27〜35=物理/問36〜45=数学
※各問の配点は6点(連問(a)(b)は各3点)。
正解一覧(早見表)
問21 正解:(3) 〔社会・国連安保理〕 難易度:標準
(ア)〜(ウ)の正誤。
- (ア)=誤:常任理事国は米・英・仏・中・露の5か国(ドイツ・オーストラリアは入らない)。また非常任理事国は10か国(20ではない)。
- (イ)=正:非常任理事国は任期2年、連続再任は不可。
- (ウ)=誤:日本は2023〜24年の任期で安保理入りしたが、これは加盟以来の安保理入りで最多(12回目)。「2回目」は誤り。
→ 誤・正・誤 = (3)。
問22 正解:(2) 〔社会・地球温暖化対策(COP)〕 難易度:標準
- (ア)=京都:1997年COP3(京都議定書)。
- (イ)=パリ:2020年以降の枠組み「パリ協定」(先進国・途上国の区別なく参加)。
- (ウ)=グラスゴー:2021年COP26は英国グラスゴーで開催。
- (エ)=1.5:1.5℃努力目標。
→ 京都・パリ・グラスゴー・1.5 = (2)。
問23 正解:(5) 〔社会・改正道路交通法〕 難易度:やや難
(ア)〜(ウ)の正誤。
- (ア)=誤:自転車のヘルメット着用は「努力義務」で罰則はない。
- (イ)=誤:運転者不在の自動運転(特定自動運行)は「レベル4」(レベル1ではない)。また許可は都道府県公安委員会(国土交通省ではない)。
- (ウ)=誤:特定小型原付は免許不要だが16歳未満の運転は禁止されている。
→ 誤・誤・誤 = (5)。
「努力義務(ヘルメット)」「レベル4(無人運転)」「16歳以上(電動キックボード)」の3点が誤りの作り所。
問24 正解:(4) 〔航空・SAF(持続可能な航空燃料)〕 難易度:標準
- (ア)=80%:従来の化石燃料比で最大約80%のCO₂排出削減。
- (イ)=2030年 / (ウ)=10%:2030年までに国内航空会社の燃料の10%をSAFに置換する目標(国交省「工程表」)。
- (エ)=経済産業省:国交省と経産省の合同で官民協議会を開催。
→ 80%・2030年・10%・経済産業省 = (4)。
問25 正解:(5) 〔地学・炭素循環〕 難易度:標準
- (ア)=光合成:植物・植物プランクトンの光合成でCO₂が固定される。
- (イ)=酸性化:海洋に吸収されたCO₂で海洋酸性化が進行。
- (ウ)=溶け込みにくく:温暖化で水温が上がると気体の溶解度が下がり、CO₂は溶け込みにくくなる。
→ 光合成・酸性化・溶け込みにくく = (5)。
問26 正解:(4) 〔地学・温帯低気圧の前線〕 難易度:標準
- (ア)=寒気、(イ)=暖気:寒冷前線では寒気が暖気を押し上げる。温暖前線では寒気(ア)の上を暖気(イ)が這い上がる。
- (ウ)=積乱雲:寒冷前線は急激な上昇気流で積乱雲(にわか雨・雷)。
- (エ)=乱層雲:温暖前線はゆるやかな上昇で乱層雲(広範囲の持続的な雨)。
→ 寒気・暖気・積乱雲・乱層雲 = (4)。
寒冷前線=積乱雲(短時間強雨)、温暖前線=乱層雲(しとしと長雨)。
問27 正解:(3) 〔物理・力学的エネルギー〕 難易度:標準
振り子の錘が最下点を通過後に上昇する場面。
ポイント:振り子の紐の張力は常に運動方向(円の接線)に垂直なので、張力は仕事をしない。よって力学的エネルギーは保存され、位置エネルギーが増える分だけ運動エネルギーは減少する。
「張力で鉛直上向き速度が増加する」という記述に惑わされない(張力は速度の向きを変えるが仕事はしない)。
→ (3)。
問28 正解:(4) 〔物理・直線落下と円弧落下〕 難易度:難
高さ h=20 mから初速0で落下。半分の高さ(10 m落下時点)の鉛直方向速度成分を比較。
どちらも力学的エネルギー保存より、10 m落下時点の速さは等しい:
v=2g⋅2h=2⋅10⋅10=200≈14 m/s.
- ケース(A):まっすぐ落下なので速度はすべて鉛直 → 鉛直成分 約14 m/s。
- ケース(B):四分円の円弧(一端で鉛直接線、他端で水平接線)。鉛直に10 m下がった点では接線が水平から30°傾いた向きになり、鉛直成分は vcos30°=14×0.87≈12 m/s。
→ (A) 14 m/s、(B) 12 m/s = (4)。
速さは同じでも、円弧では速度が斜めを向くため鉛直成分は小さくなる。
問29 正解:(1) 〔物理・重心〕 難易度:やや難
太さ・密度が一様な2本の棒でできた左右対称なT字型を、重心を通り縦棒に垂直な平面で切る。重いのはどちら側か。
横棒があるぶん重心は横棒側(上)に寄る。重心は「つり合いの点」なので、横棒側は質量が大きいが重心に近く(腕が短い)、横棒のない側は質量が小さいが遠くまで伸びている(腕が長い)。モーメントがつり合う=(質量×腕)が両側で等しい。腕が短い横棒側は、その分質量が大きい。
(例:縦棒・横棒が同じ長さなら、横棒側 = 1.25、反対側 = 0.75 の重さ比になる。)
→ (1) 横棒を含む側。
問30 正解:(4) 〔物理・等速円運動〕 難易度:標準
- (ア)=2πr:L/(2r)=π より円周 L=2πr。
- (イ)=rθ:中心角 θ の円弧長。
- (ウ)=rω:V=rdtdθ=rω。
- (エ)=2πn:1秒間に n 回転なら ω=2πn。
- (オ)=2πrn:V=rω=2πrn。
→ 2πr, rθ, rω, 2πn, 2πrn = (4)。
問31 正解:(a)→(4)、(b)→(3) 〔物理・定圧変化〕 難易度:やや難
V=7.20×10−2 m³、n=1 mol、P=5.00×104 Pa(一定)、T を 2.40×102 K まで冷却。R=8.31。
初期温度 Ti=nRPV=1×8.315.00×104×7.20×10−2=8.313600≈433 K。
ΔT=240−433=−193 K。
(a) 定圧で気体が受けた仕事 W受=−PΔV=−nRΔT=−8.31×(−193)≈1.61×103 J。
→ (a)=(4) 1.61×10³ J。
(b) 内部エネルギーの減少 ∣ΔU∣=23nRΔT=23×8.31×193≈2.41×103 J。
→ (b)=(3) 2.41×10³ J。
問32 正解:(5) 〔物理・波の固定端反射〕 難易度:やや難
振幅の違う2つの波(左に大きいパルス、右に小さいパルス)が右へ進み、壁で固定端反射(上下反転して戻る)。5秒後を考える。
各パルスは5目盛進む。壁で反射すると上下反転し左へ戻る。
- 壁に近い小パルス:先に反射し、戻って壁から遠い側へ。
- 壁から遠い大パルス:あとから反射し、戻って壁に近い側へ。
結果、2つとも下向き(反転)になり、大きいパルスが壁側、小さいパルスがその左に並ぶ。
→ 下向きパルスが2つ・大きい方が壁側 = (5)。
固定端=反転、自由端=反転しない。反射後の位置は「壁までの距離だけ折り返す」で求める。
問33 正解:(2) 〔物理・並列交流回路〕 難易度:やや難
R・X_C・X_L が電源Eに並列接続(図参照)。各枝の電流を位相込みで合成する。
IR=RE=824=3.0 A(同相),IC=XCE=324=8.0 A(+90°),IL=XLE=224=12 A(−90°).
全電流の大きさ:
I=IR2+(IC−IL)2=3.02+(8.0−12)2=9+16=25=5.0 A.
→ (2) 5.0 A。
直列と早合点しないこと。並列では各枝に同じ電圧がかかり、電流をベクトル(位相)合成する。直列RLCと混同すると誤答になる。
問34 正解:(4) 〔物理・誘電体入りコンデンサ〕 難易度:やや難
間隔 2d の平行平板。上半分(厚さ d)に ε1=4ε0、下半分(厚さ d)が真空。2層の直列接続として単位面積容量を求める。
C1=ε1d+ε0d=4ε0d+ε0d=4ε05d ⇒ C=5d4ε0.
すべて真空(間隔 2d)の場合 C0=2dε0。電荷 Q=CV0 なので倍率は
C0C=ε0/2d4ε0/5d=54×2=58.
→ (4) 58。
問35 正解:(5) 〔物理・電気と磁気の正誤〕 難易度:やや難
- (1) 誤:金属導体は温度が上がると電気抵抗は増加する。
- (2) 誤:「磁束の変化を妨げる向き」はレンツの法則(ファラデーの法則は起電力の大きさ=磁束の時間変化率)。
- (3) やや不適:磁力線がN→Sは正しいが、磁束密度を表すのは「磁束線」の密度で、用語が不正確。
- (4) 誤:銅は強磁性体ではない(弱い反磁性)。強磁性は鉄・ニッケル・コバルトなど。
- (5) 正:抵抗のない理想的なコイル・コンデンサ(純リアクタンス)は、電圧と電流の位相が90°ずれるため、1周期平均の消費電力は0。
→ 最も適切なのは (5)。
問36 正解:(4) 〔数学・三角関数の最大最小〕 難易度:やや難
f(θ)=3+sin2θ3(sin2θ+cosθ+1)。c=cosθ∈[−1,1] とおき sin2θ=1−c2 を代入。
f=4−c23(2+c−c2)=(2−c)(2+c)3(2−c)(c+1)=c+23(c+1).
g(c)=c+23(c+1) は g′(c)=(c+2)23>0 で単調増加。
- c=−1(θ=π):g=0(最小)
- c=1(θ=0):g=36=2(最大)
→ 最大値2・最小値0 = (4)。
約分の前に (2−c) が共通因数になることに気づくのがカギ。
問37 正解:(2) 〔数学・整数部と小数部〕 難易度:標準
1+5≈3.236 なので 整数部 a=3、小数部 b=5−2。
b1=5−21=5+2 より
b2=(5−2)2=9−45,b21=(5+2)2=9+45.
b2+b21=18。よって a+b2+b21=3+18=21。
→ (2) 21。
問38 正解:(2) 〔数学・指数関数のグラフ〕 難易度:標準
- (ア) y=2x−1+1:漸近線 y=1、増加、点 (1,2) を通り右上へ → 曲線 (A)。
- (イ) y=21⋅21−x=2−x:減少、点 (0,1) を通り漸近線 y=0 → 曲線 (B)。
- (ウ) y=−(21)−x−1=−2x+1:負の値、点 (0,−2),(−1,−1)、右下へ → 曲線 (D)。
→ (ア)(A)、(イ)(B)、(ウ)(D) = (2)。
指数法則で各式を 2(⋯) の形に直す((イ)は 2−x、(ウ)は −2x+1)と、漸近線・通る点・増減で一意に決まる。
問39 正解:(3) 〔数学・正n角形の面積〕 難易度:やや難
中心から各辺へ引いた二等辺三角形(頂角 n2π、底辺 a)の高さ(アポテム)は tan(π/n)a/2。
三角形1個の面積 =21⋅a⋅tan(π/n)a/2=4tan(π/n)a2。n 個分で
S=4tannπna2.
→ (3) S=4tannπna2。
問40 正解:(4) 〔数学・連立不等式〕 難易度:やや難
- 第1式 x2−2x−3≥0⇒(x−3)(x+1)≥0⇒x≤−1 または x≥3。
- 第2式 x2−(2+t)x+2t≤0⇒(x−2)(x−t)≤0 → 2 と t の間。
第2式の区間が「x≤−1 または x≥3」と重なれば解をもつ。
- t<2 のとき区間は [t,2] → x≤−1 と重なるには t≤−1。
- t>2 のとき区間は [2,t] → x≥3 と重なるには t≥3。
→ t≤−1 または t≥3 = (4)。
問41 正解:(a)→(4)、(b)→(1) 〔数学・三角関数の合成〕 難易度:標準
sinθ+3cosθ=Acos(θ+B)。
右辺を展開:AcosB⋅cosθ−AsinB⋅sinθ。係数比較:
AcosB=3,−AsinB=1.
A2=3+1=4⇒A=2。cosB=23>0, sinB=−21<0 より B=−6π。
→ (a)=(4) 2、(b)=(1) −6π。
問42 正解:(2) 〔数学・対数の最大値〕 難易度:標準
y=log2(x−2)+log2(10−x)=log2{(x−2)(10−x)}(定義域 2<x<10)。
(x−2)(10−x)=−x2+12x−20 は x=6 で最大値 4×4=16。
ymax=log216=4。
→ (2) 4。
問43 正解:(4) 〔数学・区分求積(極限)〕 難易度:やや難
n→∞limnn1k=1∑nk=n→∞limn1k=1∑nnk=∫01xdx=[32x3/2]01=32.
→ (4) 32。
nn1=n1⋅n1 とし、k=nk/n を使って区分求積に持ち込む。
問44 正解:(2) 〔数学・ベクトルの平行〕 難易度:標準
a=(3,t), b=(t−1,14) が平行 ⇔ 3⋅14−t(t−1)=0。
42−t2+t=0⇒t2−t−42=0⇒(t−7)(t+6)=0⇒t=7, −6。
→ (2) −6, 7。
問45 正解:(3) 〔数学・極値〕 難易度:難
f(x)=2x3+ax2+(a−4)x+2。f′(x)=6x2+2ax+(a−4) の2解が α,β。
α+β=−3a, αβ=6a−4。
f(α)+f(β) を基本対称式で表して整理すると
f(α)+f(β)=27a3−9a2+36a+108.
f(α)+f(β)=6 より a3−9a2+36a+108=162、すなわち a3−9a2+36a−54=0。
a=3 を代入すると 27−81+108−54=0 で成立。(a−3)(a2−6a+18)=0 の残りは虚数解。
(f′ の判別式 =4(a2−6a+24)>0 で常に異なる2極値をもつので a=3 は適。)
→ (3) 3。
出題分析メモ(指導用)
- 社会・時事(問21〜24):安保理・COP・改正道交法・SAF。航空×環境(SAF)と最新の法改正が狙われる。問23は「努力義務/レベル4/16歳以上」の3点が誤りの定番パターン。
- 地学(問25・26):炭素循環(海洋酸性化・温暖化で溶解度減)と前線(寒冷=積乱雲/温暖=乱層雲)。
- 物理(問27〜35):問27(張力は仕事をしない)、問28(円弧では鉛直成分が減る)、問29(重心と腕の長さ)、問32(固定端=反転)、問33(並列RLCの電流合成)が要注意。問33は直列と取り違えると誤答。
- 数学(問36〜45):三角関数(合成・最大最小)、指数対数、グラフ読み、区分求積、ベクトル、極値と幅広い。問36は約分、問43は区分求積の形に直す、問45は基本対称式で f(α)+f(β) を表すのがポイント。
※本解説の正解・解説は出題文・図に基づき作成。時事系(問21〜24)は出題時点(令和5〜6年前後)の事実に基づく。