航空大学校の英語 完全分析|構成・英検レベル・出題分野・対策
目次(16項目)
「航空大学校の英語、何から手をつければ?」 この記事では配点・レベル・出題分野を、令和2〜9年度(R02〜R09)の公開過去問と、R02〜R08の本文データを一語ずつ分析し、対策まで1ページにまとめました。まずは全体像から。
- 構成:R9はリスニング約20分→リーディング65分。リーディング(大問I〜III)80点+リスニング20点の100点満点
- レベル:英検2級が前提、勝負は準1級、1級レベルの単語は捨ててよい
- 分野:旧7年集計では語彙・語法・時制で約6割。R9の大問Iは文法・構文6問、語彙4問で、語彙だけに寄せた対策は危険
※R9の公式公開問題は、CBTで実施した内容を紙形式に編集したものです。実際のCBTはリスニングから始まり、公開PDFは紙面の都合でリーディング→リスニングの順に並んでいます。詳細はR9年度試験情報まとめと公式のR9英語問題をご確認ください。 出典:R9年度募集要項・公式公開問題
【R9本番反映・下書き】 R9年度(2026年7月12日)の公式公開問題を反映しました。英語はリスニング約20分+リーディング65分。大問Iは10問(1問2点)で、
there・使役構文・分詞構文・付加疑問・倒置・関係詞などの文法系6問と、inclusive・reciprocal・sanction・curtailの語彙系4問でした。著作権のため、公式PDFでも大問II・IIIの本文とリスニング本文は掲載されていません。このため、R9について細かく集計できるのは公開された大問Iが中心です。
英語の構成と配点
R9の公式案内では、リスニング約20分+リーディング65分の計100点です。配点の内訳は、大問I=語句20点、大問II=長文空所30点、大問III=長文和訳30点、リスニング20点。実際のCBTではリスニング→リーディングの順で、いったんリーディングに進むとリスニングには戻れません。公式公開PDFでは著作権の関係から大問II・IIIとリスニングの本文が伏せられているため、R9本番を問題文付きで検討できる中心は大問Iです。
なお、以下の大問II・IIIの語彙・テーマ分析は、本文を確認できたR02〜R06を中心とする過去傾向の集計です。R9の非公開部分に、そのまま当てはまるとは限りません。
英検でいうと何級?(読む語と問われる語)
過去問の語を「本文で読む語」と「設問で問われる語」に分けると、レベルが大きく違います。
- 読む語(長文本文の単語):本文を確認できたR02〜R06では、英検 2級までで約88%。準1級以上は約12%で、その多くは
contrails(飛行機雲)・pandemic・denialistのような時事・専門語です。長文は2級の語彙力があれば“だいたい読める”。 - 問われる語(語句問題の答え):R02〜R08の旧集計では準2級・2級・準1級に広く散らばり、全体では準1級以上が44%。ただしこの44%は大問I・IIをまとめた数字で、難語は大問Iに偏っています(大問別の内訳は次節)。R9の語彙4問は、この旧集計とは別に追加しています。
出題者は、本文の「やさしい語」ではなく「難しい語」を選んで問います。「長文はなんとなく読めるのに点が取れない」のはこのためで、読解力(2級)と、得点に直結する語彙力(準1級)は別物です。
どうやって測ったか
- 対象:大問I(語句)はR02〜R08の70問にR09の10問を追加。大問II(長文空所)と長文本文はR02〜R06(R07〜R09の長文本文は非公開)
- 基準:SVL12000(アルク標準語彙水準)。全12,000語を12段階に分けた定番リストに、過去問の語を原形(lemma)で一語ずつ照合
- 英検への換算:
| SVLレベル | 英検の目安 |
|---|---|
| 1〜3 | 中学〜3級 |
| 4 | 準2級 |
| 5〜6 | 2級 |
| 7〜9 | 準1級 |
| 10〜12 | 1級 |
| 圏外(12000語に無し) | 1級超/専門語 |
英国綴りは米国綴りに正規化し、固有名詞・略語は除外、出現頻度で明らかなノイズも除いています。SVLは古いデータ由来で一部の語を高めに格付けするため、頻度と照らして数語だけ補正しました。
※レベルはあくまで目安です。本分析は航空大学校受験NETによる独自集計で、公式発表ではありません。
大問I・II・III、難しさの「質」が違う
同じ「英語」でも、大問ごとに難しさの種類がまるで違います。R02〜R06の本文とR02〜R08の答えを大問別に集計した歴史集計は、こうなります。R9の大問Iは次の「出題分野」で別枠に追加します。
| 読む語(本文)2級まで | 問われる語 準1級以上 | 難しさの正体 | |
|---|---|---|---|
| 大問I(語句) | 本文なし(単独文) | 約6割(61%) | 単語そのもの。文脈の助けが薄く、知っているかどうか |
| 大問II(長文空所) | 約9割 | 約3割(31%) | 読解。本文は2級で読め、空所も文脈で取れる |
| 大問III(長文和訳) | 約9割 | 選択肢なし(記述式) | 構文+訳出。語は易しいが和訳の正確さで差 |
- 大問I(語句):R02〜R08では10問のうち語彙はおよそ2〜3問、残りは文法・語法でした。R9は文法・構文系6問、語彙系4問で、
inclusive・reciprocal・sanction・curtailのような語も正面から出ています。文法・語法問題は、答えがto repair・whoのような語でも知識を直接問います。単独文のため、文脈の助けがありません。 - 大問II(長文空所):本文は2級で約9割読めます。空所で問われるのは語彙が中心で、
account for・make upのような熟語・句動詞や、機能語・文法も混じります(内訳は大問IIで問われる単元)。多くは前後の文脈から絞り込めるぶん、大問Iより取りやすい構成です。 - 大問III(下線部和訳):使われる語のレベルは、本文を確認できた過去年度では大問IIとほぼ同じ(2級で約9割)。難しさは単語だけでなく、下線部の構文(関係詞・分詞・倒置)を崩さず日本語にする記述力にあります。航空語彙(
contrails・emissions・turbulence)は有用ですが、R9の本文は公式非掲載のため、出題テーマを固定してはいけません。
※「準1級以上44%」は大問I・IIをまとめた数字でした。大問別に割ると、難語は大問Iに集中し、大問IIの空所はぐっとやさしくなります。割合はSVL12000準拠の独自集計(本文=走り語ベース、答え=正解語ベース)で、目安です。
過去問の単語を英検レベルで並べると
語彙のレベル感を、実際の過去問の単語で確かめます(はしご図は下=やさしい、上=難しい。大問I・II・長文すべてから採っています)。
comprehensive・incorporate・adjacent・exempt あたり(準1級)を「見たことある」と言えるかが、得点の分かれ目です。diatribe(痛烈な非難)・placid(穏やかな)まで来ると1級超で、出題は数%。ここは深追いせず、文法と準1級を固めるほうが点になります。
出題分野(大問I)
R02〜R08の大問I(70問)を分野で分けると、上位3分野(語彙23%・前置詞語法イディオム20%・動詞の形/時制19%)だけで約6割。この図はR9を含まない歴史集計です。R9の10問を足すと、語彙・文法の比率は少し変わります。
難単語に目が行きがちですが、単語の意味そのものを問う「語彙」は旧7年で約4分の1(23%)。残りの約4分の3は文法・語法・構文で、なかでも「動詞の形・時制」と「前置詞・語法・イディオム」が中心です。R9本番も、語彙だけでなく文法・構文を広く問う構成でした。
R9を足した大問Iの集計
R9の公式公開問題を、過去の分類に合わせて大きく「語彙」と「文法・語法・構文」に分けました。細かい単元の境界には編集部判断が入るため、これは傾向をつかむための集計です。
| 集計範囲 | 語彙 | 文法・語法・構文 | 合計 |
|---|---|---|---|
| R02〜R08(旧7年) | 16 | 54 | 70 |
| R09 | 4 | 6 | 10 |
| R02〜R09 | 20 | 60 | 80 |
R9の文法系は there の存在構文、get O to do、分詞構文、付加疑問、倒置、非制限用法の関係代名詞など。語彙系は inclusive、reciprocal、sanction、curtail でした。R9の大問I対策は「準1級語彙だけ」でも「文法だけ」でも足りず、短い単独文の構造を即座に判断する練習が必要です。
どの単元が出る?(大問Iの内訳)
大問Iを単元レベルまで分けると、特定単元への集中はなく「広く薄く」です。下表はR02〜R08の旧70問の細分類で、R9は前掲の大分類(語彙4・文法系6)に追加しています。各単元はおおむね1〜2問ずつ。ヤマを張れない=穴を作らない網羅学習が効くタイプ。厚いのは「動詞・時制系」と「前置詞・語法系」です。
| 大分野 | 問数 | 実際に出た単元 |
|---|---|---|
| 語彙 | 16 | 単語の意味(準1〜1級中心)、コロケーション(blow a tire) |
| 前置詞・語法・イディオム | 14 | 動詞+前置詞(graduate/qualify for)、形容詞+前置詞(anxious/desperate/exempt)、群前置詞・慣用句(in favor of/in short supply/anything but/unless otherwise)、句動詞(get on with)、be worth+名詞、口語(For here or to go) |
| 動詞の形・時制 | 13 | 三単現・be動詞・主述の一致、現在完了、時制の一致(歴史的事実)・並列、時の副詞節中の現在形、未来進行形、受動態(be located)、不規則動詞(cost)、疑問文(do) |
| 疑問詞 | 5 | How+形容詞(long/large/天候)、Who…for(前置詞残留)、What's |
| 名詞・代名詞・品詞 | 5 | 不可算名詞(traffic/a piece of advice)、非人称のit、否定の代名詞(Nobody)、品詞識別 |
| 接続詞・節 | 3 | 名詞節 whether、時 as soon as、譲歩 even if |
| 関係詞 | 3 | 関係代名詞、関係副詞、複合関係形容詞(whichever) |
| 仮定法・助動詞 | 3 | 仮定法過去完了、had better、might have done |
| 文型 | 2 | SVOO(buy/guarantee) |
| 比較 | 2 | 最上級、ラテン比較(superior to) |
| 倒置・特殊構文 | 2 | 譲歩の倒置(as)、hardly…before |
| 準動詞 | 2 | 動名詞(enjoy doing/look forward to -ing) |
近年の変化:大問Iはイディオム減少、R9は構文+語彙へ
| 分野\年度 | R02 | R03 | R04 | R05 | R06 | R07 | R08 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 前置詞・語法・イディオム | 4 | 4 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 |
| 動詞の形・時制 | 1 | 3 | 2 | 1 | 1 | 3 | 2 |
R06〜R08では、大問Iの前置詞・語法・イディオムが0問でした。R9も単独のイディオム問題ではなく、構文6問+語彙4問という構成です。ただし、R9の10問だけで長期傾向を断定することはできません。また、イディオム自体は過去の大問IIに残っています(次節)。
大問IIで問われる単元
大問IIの空所(R02〜R06・50問)を「何が問われているか」で分けると、次のようになります。
| 単元 | 問数 | 割合 | 例 |
|---|---|---|---|
| 語彙(内容語の意味) | 31 | 62% | cuisine/recession/compulsory/alleviate |
| 熟語・句動詞・前置詞語法 | 13 | 26% | account for/make up/aware of/has to do with/to name a few |
| 文法・機能語(時制・関係詞・接続詞など) | 6 | 12% | has been changing/whose/what/that |
中心は語彙ですが、熟語・句動詞も毎年1〜4問出ます。大問Iでイディオムが消えたのとは対照的に、大問IIでは残っており、R06は最多の4問(rise by・No wonder・mess with・to name a few)でした。空所の正解が句動詞の前置詞(account for の for、make up の up、goes off の off)になる形が定番で、答えの単語自体は易しくても、その熟語を知らないと選べません。長文中なので、前後の文脈からも絞り込めます。
文法・機能語は1割ほど。関係詞 whose/what、接続詞 that、時制 has been changing など、大問Iで問う文法を長文の中で確かめる形です。
長文のテーマと出典
長文(R02〜R06)のテーマを並べると、大問II(長文空所・各年4本)は時事・教養が満遍なく出ます。言語・教育・心理、文化・食・歴史、環境、健康・医療、社会・経済が各15〜20%で、ジャンルの偏りはありません。素材は Breaking News English・VOA Learning English・The Conversation「Curious Kids」 など、学習者向けにやさしく書き直した短い記事(1本100〜140語)が中心です。
いっぽう大問III(下線部和訳)は、テーマを航空に固定しないほうが安全です。R02〜R06の公開・確認できた範囲では航空がらみが5年中4年でしたが、R9の大問III本文は公式PDFで非掲載です。R9の試験再現・感想板では「教育がテーマだった」という投稿がある一方、これは受験後の個人記憶で、全受験者に一般化できません。
素材の質は、過去の大問IIIでは一般読者向けの記事を長めに読む年があり、構文の硬さと記述式の和訳が差になりました。evacuation・contrails・emissions・turbulence のような航空語彙は今後も役立ちますが、教育・環境・社会など一般テーマの英文を、構文ごと正確に訳す練習を軸にするのがR9後の方針です。
試験再現・感想板から見えるR9の受験者報告
R9一次試験の試験再現・感想板は、2026年8月25日時点で85件の公開投稿があります。内訳は英語3件、総合I(適性)3件、総合II(学科)45件、全体の感想34件。ただしこれは投稿数であって人数ではなく、質問・返信・同じ内容の再投稿を含みます。公式問題の事実確認や全体の難度統計には使わず、CBTの体験と出題の記憶を補う参考情報として扱います。
英語については、次のような報告がありました。
- CBTのため、リスニングで次の問題を先読みできなかった
- ある投稿では、前半(問1〜10)は1音声1問で、解答時間が約8秒に区切られ、自動で次へ進み前の問題には戻れなかったという再現がある。後半(問11〜20)は1音声2問で、同じ時間制限はなかったという
- 和訳は3問で、構文は極端に複雑ではないが、語彙はやや高く感じたという感想がある
- 英語区分の投稿では、リスニングよりも語彙・熟語を難しく感じたという声が見られる。ただし投稿数が少なく、正答率の裏付けではない
上のうち時間配分・画面挙動は受験生1名の再現、難易度は複数の個人感想です。公式に確認できる時間・配点は、リスニング約20分、リーディング65分、大問I 10問・1問2点まで。板の報告は、公式情報に加える「本番で戸惑いやすい操作」の参考として読むのが適切です。
各年の具体的な出典(大問II・IIIとも)と大問IIの正解は、専用ページ英語長文の出典にまとめています(このページは“分析・全体像”、出典の詳細はあちら、と役割を分けています)。
小ネタ:綴りは英米が混在
長文は出典をそのまま使うため、英国綴りと米国綴りが混在します(behaviour/behavior、organisation/organization、aeroplane/airplane)。BBC・Guardian系(英)かVOA・AP・NASA系(米)かで変わるだけ。解答はマーク式+和訳なので綴りで減点はされませんが、両方知っておくと読むとき楽です。
対策の進め方
- 文法を落とさない:時制・準動詞・関係詞・仮定法・倒置(
Hardly had she ...)・存在構文・付加疑問。R9大問Iは短い単独文で構造を判断する問題が6問ありました。各年の解説(下のリンク)で型を確認 - 準1級の難語彙+落とせない構文で差をつける:R9大問Iでは
inclusive・reciprocal・sanction・curtailが出ました。in favor of・anything but型のイディオム・群前置詞は大問Iでは出題が減りましたが、大問IIでは過去に出ています(大問IIで問われる単元)。単独の丸暗記より、短文の構造と長文の前後関係を同時に処理できるようにしておくと効率的です。 - 1級レベルは捨てる:
diatribe・feud・placidなどは数%。1問のために時間を使うより、文法と準1級を固める - 長文はやさしい英語ニュースと一般テーマを多読:本文は過去の確認範囲では2級で大半読めるので、伸ばすべきは「速く正確に」。教育・環境・社会なども含め、英語長文の出典で挙げた系統(VOA Learning English・Breaking News English・The Conversation など)を日課に
準1級の語彙、何で覚える?
順番が大事です。いきなり準1級の難単語に行かないこと。
まず土台:ターゲット1900・システム英単語 などの基本単語帳(大学受験の標準=英検2級レベル)を1冊仕上げる。長文の本文は2級語彙で約9割カバーできるので(前掲)、ここが固まる前に難単語へ手を出しても費用対効果が悪い。多くの人はまずこれで十分です。
土台ができたうえで、準1級ゾーン(=差がつく層)を重ねるか判断します。基礎が固まっていて、過去問で難語に手こずる人は上積みを。残り時間で使い分け:
- 計画的に早めから重ねる:『出る順で最短合格!英検準1級単熟語EX』(ジャパンタイムズ出版)。約2,400句の網羅型。量が多いので数か月前から。
- 直前に上位だけ重ねる:関正生『大学入試英単語 SPARTA 3(mastery level・1,000語)』(かんき出版)。SPARTAはレベル1〜3制で、レベル3が最難関(ターゲット1900・システム英単語・鉄壁の先の層)。1か月で1,000語を回す設計なので、直前に“差がつく語”だけ集中したい人に。
※EX・SPARTAはあくまで上積み。熟語・語法は大問Iでは出題が減っていますが、大問IIの長文では文脈で問われるので、語彙帳の熟語パートや長文多読で軽く触れておけば十分です。
年度別の解説(大問I)
各年度の大問I(語句)全10問の正解と、文法・語彙のくわしい解説はこちら。R9の公式公開問題は、本文を確認できる範囲が大問Iに限られるため、まず公式PDFを参照してください。
- 令和9年度(R09)公式英語問題
- 令和9年度(R09)英語 大問Iの詳しい解説
- 令和8年度(R08)・令和7年度(R07)・令和6年度(R06)
- 令和5年度(R05)・令和4年度(R04)・令和3年度(R03)・令和2年度(R02)
過去問本体(長文を含む)の入手方法は英語の過去問の著作権の部分を見る方法、ほかの科目もあわせて過去問解説の一覧からどうぞ。
※R02〜R08の語彙レベル・大問II・本文分析は、公式に本文を確認できた範囲をもとにした独自集計です。R9は公式公開問題の大問Iを追加し、非掲載の大問II・III本文とリスニング本文は推測で補っていません。語彙レベルはSVL12000(アルク)を基準に、CEFR-J Wordlistと出現頻度で裏取り・補正した独自集計です。英検級との対応は目安であり、公式の基準ではありません。誤りや別解にお気づきの場合はお問い合わせからご指摘ください。
