【速報】航空大学校にヘリ操縦士の養成コースを新設へ 宮崎で2029年めど

目次(5項目)

国土交通省は6月19日、ヘリコプター操縦士の不足に対応する確保策をとりまとめ、その柱として航空大学校(宮崎本校)にヘリ操縦士の養成コースを新設すると発表しました。運用開始は令和10年度末、2029年の初頭を目指します。

養成コースが対象とするのは、すでにヘリの操縦士免許を持つ若手操縦士です。エアラインのパイロットを一から養成する従来の本科(入学試験を経て入校する課程)とは異なる枠組みで、受験生が新たに志願できる入学ルートが増えるものではありません。

進む高齢化と若手不足

ドクターヘリや消防防災ヘリ、捜索救助ヘリは、救命や災害対応を担う社会インフラとされます。国交省によると、こうした公共用ヘリの運航にあたる操縦士は全国で約1,000人。内訳はドクターヘリが約200人、消防防災ヘリが約380人、警察が約250人、海上保安庁が約170人です。

これらの任務には飛行経歴1,000時間以上の高い技量が求められますが、操縦士の高齢化が進み、50歳以上の割合はヘリ全体で約5割、ドクターヘリでは約7割に達しています。国交省は、2030年以降、ドクターヘリで年10人以上の操縦士が不足する恐れがあるとしています。

航空大学校 ヘリ操縦士の高齢化と不足見通し:50歳以上の割合は全体50%・ドクターヘリ71%・消防防災65%。2030年以降はドクターヘリで年10名以上の不足のおそれ

背景には、若手が飛行経験を積む機会の減少があります。かつて経験を積む場だった農薬散布などの飛行はドローンの普及で約6割減った一方、ドクターヘリの飛行時間は約3割増加しました。経験を積みにくくなる中で求められる技量は上がり、1飛行時間あたり約30万円とされる養成費用が運航者の負担となっています。こうした状況を受け、公的機関である航大が養成の受け皿となります。

新コースの概要

国交省が示した養成コースの概要は次のとおりです。

対象すでに免許を持つ若手の操縦士(新人を一から養成するものではない)
内容基礎的な技術と飛行経験を効率的・効果的に習得させる
使用機材ヘリコプターとシミュレータ
訓練拠点宮崎空港を想定(航大の既存施設を活用)
整備の財源機材・施設の整備は日本財団の助成で実施
委託元運航者(小型機の事業者、自治体、海上保安庁、警察)が航大に養成を委託
時期2026年6月から準備(整備・カリキュラム検討・教官確保)、令和10年度末(2029年初頭)めどに運用開始

訓練拠点には宮崎本校の既存施設を活用し、機材や施設の整備は日本財団の助成で行います。一方、定員や使用機種、具体的なカリキュラムは今後検討するとしており、現時点では明らかにされていません。

受験生への影響

新コースの位置づけ:従来の本科は入学試験で入り固定翼を一から養成。新コースは免許を持つ若手が運航者経由で委託され経験を積み増す。準備2026年6月、運用開始2029年初頭めど

新コースは固定翼の本科とは別の枠組みで、高校生や大学生が新たに志願できる入学ルートではありません。対象はすでにヘリの免許を持つ操縦士に限られ、運航会社や自治体などを通じて委託される形が想定されています。

航大が回転翼の養成に関わるのは、1978年から2000年まで別科として設けていた以来、約四半世紀ぶりとなります。今回は宮崎本校の既存施設を活用するとされ、航大の設備や組織体制にも関わる動きとなります。

国交省は2024年にも、ドクターヘリや防災ヘリの操縦士不足を背景にヘリ操縦士課程の再創設を検討すると表明していました(関連記事:女子枠新設・ヘリ課程再設を議論へ)。今回のとりまとめは、その検討が具体策として示されたものといえます。

コース以外の確保策

今回のとりまとめには、養成コースの新設以外の対策も盛り込まれました。養成費用への公的支援、無利子で貸し付ける奨学金制度の創設、シミュレータによる訓練を飛行経験として認める飛行経歴要件の見直し、官民によるPR活動などで、いずれも令和8年をめどに検討を進めるとしています。

出典

国土交通省 報道発表(2026年6月19日) →

報道発表資料 本文(PDF) →

とりまとめ概要(PDF) →

この記事は6月19日の発表時点の内容です。定員や機種などが分かり次第、更新します。