先に結論
R9総合全体は、Part Iが問1〜問4の4問・100点、Part IIが問5〜問25の21問・150点です。このページで扱うのは、公式に公開されている総合Part IIの問5〜問25です。
Part Iは操縦士に必要な判断・処理能力を問う非公開パートで、公式問題は掲載されていません。Part IIは高校数学・物理・地学の基礎と論理的思考を問うパートです。問題冊子はCBTで実施した内容を紙形式に編集したものなので、実際の画面とは表示や指示の一部が異なります。
以下では、問題文や図をそのまま転載せず、答え合わせに必要な条件だけを整理します。連問の(a)(b)は、途中の考え方がつながっていても別々に確認できるようにしました。
正解一覧
出題の内訳
地学(問5・問6)
問5 正解:(4) 〔温室効果と地球環境〕
空欄を順番に埋めると、
- 温室効果ガスが吸収するのは赤外線
- 濃度が増えて温暖化を強める代表は二酸化炭素
- 永久凍土から放出されるのはメタン
- 氷が融けると反射率は低下する
です。
したがって正解は (4) 赤外線・二酸化炭素・メタン・低下。
温室効果ガスは、地表から出る赤外線を吸収して再放射します。紫外線ではありません。また、永久凍土に閉じ込められたメタンが放出されると、温室効果がさらに強まります。白い氷が減ると、太陽放射を反射しにくくなるため反射率は下がり、地表がより多くのエネルギーを吸収します。これは氷床の融解をさらに進める正のフィードバックです。
問6 正解:(1) 〔高気圧と天気〕
高気圧に覆われた地域では下降気流が起こりやすく、雲ができにくいため、晴天になりやすい。図のように気圧傾度が大きくない地域では風も弱く、海風・陸風のような局地風が目立ちやすくなります。
また、暖かく湿った空気が流れ込むと、日射による加熱や地形の持ち上げによって内陸部・山岳部で積乱雲が発達し、夕立や雷につながることがあります。したがって、(ア)・(イ)・(ウ)はすべて正しく、正解は (1) 正・正・正 です。
「高気圧なら必ず暑い」と丸暗記するのではなく、下降気流で晴れやすいこと、気圧傾度が小さいと風が弱いこと、暖湿気流入があれば高気圧の周辺でも対流雲が発達しうることを分けて考えます。
物理(問7〜問15)
問7 正解:(4) 〔合力とモーメント〕
棒の下端には左向きに大きさ F、上端には棒から右へ30°傾いた向きに大きさ 2F の力が働いています。上端の力を水平・鉛直に分けると、
2Fsin30∘=F,2Fcos30∘=3F
です。水平成分は、下端の左向き F と上端の右向き F が打ち消し合います。残る合力は、鉛直下向きの 3F。したがって棒の重心は、最初は画面内を真下へ動き出します。
ただし、回転は止まりません。下端の左向きの力も、上端の右向きの力も、棒の中心まわりには同じ向きのモーメントを作ります。鉛直成分は棒に沿うのでモーメントを作りませんが、水平成分のモーメントは残ります。
よって「回転をはじめつつ、画面内を真下へ動きだす」の (4) です。
ここは「合力が下向きだから回転しない」と考えないこと。並進は合力、回転は基準点まわりのモーメントで別々に判定します。
問8(a) 正解:(3) 〔加速度グラフの読み取り〕
加速度グラフは、
- 0〜1秒:a=0
- 1〜2秒:a=10 m/s2
- 2〜3秒:a=0
です。
加速度が0なら速度は一定ですが、加速度が0でない区間では速度が変化します。したがって、
- (ア) 0〜1秒は等速運動:正しい
- (イ) 1〜2秒は等速運動:誤り
- (ウ) 2〜3秒は等速運動:正しい
- (エ) 2〜3秒は位置が変わらない:誤り
となります。正しい文は2つなので、正解は (3)。
「加速度0」と「速度0」は別物です。2〜3秒の速度は0ではなく、1〜2秒で増えた後の一定速度です。
問8(b) 正解:(5) 〔速度から位置を求める〕
時刻0秒の速度を、図の正方向に 10 m/s とします。
0〜1秒は等速なので、移動距離は
10×1=10 m。
1〜2秒は、初速度10、加速度10、時間1秒なので、平均速度は
210+20=15 m/s
となり、移動距離は15mです。2〜3秒は速度20m/sの等速運動なので、20m進みます。
したがって、時刻3秒の位置は
10+15+20=45 m。
正解は (5) 45m です。
問9 正解:(4) 〔斜面上の非慣性系〕
台車は斜面を上向きに滑走していますが、摩擦などがないので、斜面方向の加速度は下向きです。その大きさは重力の斜面方向成分、
a=gsin60∘
です。
台車と一緒に動くAさんの座標系では、加速度と反対向き、つまり斜面上向きに慣性力が現れます。その大きさは mgsin60∘ で、重力の斜面下向き成分と打ち消し合います。
残る見かけの重力は、斜面に垂直な成分だけです。
mgcos60∘=21mg
したがって、Aさんは斜面に垂直な体重の1/2倍の見かけの重力を感じます。正解は (4)。
「合力が0だから何も感じない」ではありません。斜面方向の重力と慣性力が相殺され、垂直方向の成分だけが残るため、体重が半分になったように感じます。
問10(a) 正解:(2) 〔ばね振り子の周期〕
ばね振り子の周期は、
T=2πkm
です。m=1.0 kg、T≃6.3 s を代入すると、
k=T24π2m≃39.739.5≃1.0 N/m。
したがって正解は (2) 約1.0N/m です。
伸ばした距離0.10mは振幅であり、ばね定数の計算には周期と質量を使います。振幅をそのまま k の式に入れないようにします。
問10(b) 正解:(2) 〔質量と周期〕
ばね定数を変えずに質量を2倍にすると、周期は質量の平方根に比例するので、
T′=T2≃6.3×1.414≃8.9 s。
正解は (2) 約8.9秒 です。質量を2倍にして周期も2倍、としないことが注意点です。
問11 正解:(5) 〔理想気体の混合〕
温度は摂氏ではなく絶対温度に直します。
TA=7+273≃280 K,TB=47+273≃320 K。
気体の物質量は、状態方程式 PV=nRT から、各容器について nR=PV/T と表せます。混合後も気体全体の物質量は変わらないため、
nR=2805.6×105×1.5×10−3+3203.2×105×2.0×10−3≃3.0+2.0=5.0 J/K。
全体積は 3.5×10−3 m3。最終圧力が 5.0×105 Pa なので、
T=nRPV=5.05.0×105×3.5×10−3=350 K≃77∘C。
正解は (5) 77℃ です。
混合直後の温度を単純平均したり、摂氏のまま PV/T を計算したりすると誤ります。圧力・体積・絶対温度を使って、まず全体の nR を足します。
問12(a) 正解:(4) 〔閉管の共鳴〕
一端が開き、もう一端がピストンで閉じた管では、共鳴する長さは
L=4λ,43λ,45λ,…
です。隣り合う共鳴位置の差は λ/2。今回は差が 25.5−8.5=17.0 cm なので、
2λ=17.0 cm⟹λ=34.0 cm。
正解は (4) 34.0cm です。最初の共鳴の8.5cmを、そのまま波長としないことがポイントです。
問12(b) 正解:(2) 〔波長と振動数〕
波の基本式 v=fλ より、
f=0.340340=1000 Hz。
正解は (2) 1,000Hz です。cmをmに直してから計算します。
問13 正解:(3) 〔対称な抵抗回路〕
端子BからDまでを見ると、上側の経路は R+R=2R、下側の経路も R+R=2R です。中央の抵抗は、上側と下側の中点を結んでいます。
回路は左右対称なので、上側中点Aと下側中点Cの電位は等しくなります。AとCの電位差が0なら、中央の抵抗には電流が流れません。残る2本の 2R を並列にすれば、
RBD=2R∥2R=2R+2R2R×2R=R。
したがって正解は (3) R Ω です。
中央の抵抗をいきなり直列・並列に組み込むのではなく、まず対称性から「そこに電流が流れるか」を確認します。
問14 正解:(4) 〔コンデンサーの電位差〕
電源を切り離したあとは、極板にたまった電気量 Q が変わりません。平行板コンデンサーでは、極板間隔を2倍にすると電気容量は半分になります。
C′=2C,V′=C′Q=2CQ=2V=200 V。
正解は (4) 200V です。
電源につないだままなら電位差が保たれますが、この問題は「電源を切り離して」いるため、一定なのは電位差ではなく電気量です。
問15 正解:(2) 〔電磁誘導〕
コイルの面積変化は、縦幅を 0.20 m、横幅の変化を 0.15−0.10=0.05 m として、
ΔA=0.20×0.05=0.010 m2。
磁束の変化にともなう誘導起電力の大きさは、
E=NΔtBΔA=100×0.500.50×0.010=1.0 V。
したがって電流は、
I=RE=2.01.0=0.50 A。
正解は (2) 0.50A です。巻数100を掛け忘れると、起電力を1/100にしてしまいます。
数学(問16〜問25)
問16 正解:(1) 〔区間内の2次関数の最小値〕
関数を平方完成すると、
f(x)=x2−4tx+4t=(x−2t)2+4t−4t2。
頂点の位置は x=2t です。
0<t≤1.5 のとき
頂点が区間 0≤x≤3 の中にあるので、
y(t)=4t−4t2。
これは下に開く2次関数で、頂点 t=1/2 で最大になります。その値は、
y(21)=2−1=1。
t≥1.5 のとき
頂点が区間の右側に出るため、最小値は右端 x=3 で取ります。
y(t)=f(3)=9−12t+4t=9−8t。
これは t≥1.5 で3以下となり、先ほどの1を超えません。よって y(t) の最大値は 1、正解は (1) です。
「最小値を求める関数」の最大値を聞かれているので、まず頂点が区間内にあるかを分けるのが手順です。
問17(a) 正解:(4) 〔三角形BCDと正弦定理〕
三角形BCDでは、
∠CBD=30∘,∠BDC=120∘
なので、残りの角 ∠BCD も30°です。辺BC=100は120°の向かい、辺BDは30°の向かいにあります。
正弦定理から、
sin30∘BD=sin120∘BC
したがって、
BD=100sin120∘sin30∘=1003/21/2=3100。
正解は (4) 100/3 です。
問17(b) 正解:(2) 〔30°-60°-90°の直角三角形〕
三角形ABDでは ∠ADB=90∘、∠BAD=60∘ なので、残りの角 ∠ABD は30°です。30°-60°-90°の辺の比から、
BD:AD=3:1。
よって、
AD=3BD=3100/3=3100。
正解は (2) 100/3 です。
問18 正解:(5) 〔連立方程式と式の値〕
2本の条件から、まず x,z を y で表します。第2式から、
x=3y−z。
これを第1式に代入すると、
4(3y−z)−3y−3z=0⟹9y−7z=0。
したがって、
z=79y,x=3y−79y=712y。
分子と分母はそれぞれ、
x+y+z=4y,
2x−2y−z=724y−714y−79y=71y。
したがって求める値は、
y/74y=28。
正解は (5) 28 です。
問19 正解:(3) 〔三角方程式〕
分母が0でないことを確認して、
cosxsinx+sinxcosx=2
を通分します。
sinxcosxsin2x+cos2x=2⟹sinxcosx1=2。
よって sinxcosx=1/2、すなわち、
sin2x=1。
範囲 0<x<2π では、2x が π/2、5π/2 のときなので、
x=4π,45π。
正解は (3) です。
問20 正解:(3) 〔指数の和と差〕
ax+a−x=5
とおきます。積は axa−x=1 なので、
(ax−a−x)2=(ax+a−x)2−4axa−x=52−4=21。
正解は (3) 21 です。差を直接求める必要はなく、「和の2乗−4×積」の形を使います。
問21 正解:(4) 〔底の変換と対数の性質〕
式を、L=log23 と置いて整理します。
まず、
log29=log22log29=1/22L=4L。
したがって第1因子は 5L です。
第2因子では、log32=1/L、また、
log1/32=−log321log2=−2L1。
第2因子は 1/(2L) なので、全体は、
5L×2L1=25。
正解は (4) 5/2 です。
底が 2 や 1/3 に変わっていても、底の変換公式で2と3の対数に揃えると約分できます。
問22(a) 正解:(4) 〔平均変化率と微分係数〕
点Aと点Bを結ぶ直線の傾きは、変化量を変化した幅で割った、
hf(a+h)−f(a)
です。これはAとBを結ぶ割線の傾き、つまり平均変化率です。
h を0に近づけると、BがAに近づき、極限は f′(a) になります。これはAにおける微分係数であり、グラフ上の接線の傾きです。
したがって、空欄は「傾き・微分係数・接線の傾き」の組合せで、正解は (4) です。
問22(b) 正解:(5) 〔接線の傾き〕
y=x2+x
を微分すると、
f′(x)=2x+1。
したがって x=2 での接線の傾きは、
f′(2)=2×2+1=5。
正解は (5) 5 です。
問23 正解:(3) 〔絶対値の定積分〕
絶対値の中の式を因数分解すると、
x2+2x−3=(x−1)(x+3)。
区間 0≤x≤2 では、x=1 で符号が変わります。したがって、
∫02∣x2+2x−3∣dx=∫01−(x2+2x−3)dx+∫12(x2+2x−3)dx。
それぞれ計算すると、
∫01(−x2−2x+3)dx=35,
∫12(x2+2x−3)dx=37。
よって合計は、
35+37=4。
正解は (3) 4 です。
絶対値を外す前に、区間内の符号が変わる点 x=1 を探すのが最初の一手です。
問24 正解:(4) 〔円と方べきの定理〕
円の半径は5cmです。最初の中心は、辺BCの中点から垂直に5cm離れています。そこから円をBCへ1cm、BからCの向きへ1cm動かしたと考えます。
まず、辺BC上の弦を求める
BCを横軸にとると、移動後の円の中心は (6,4)、半径は5です。BC上、つまり y=0 との交点は、
(x−6)2+42=52⟹x=3,9。
したがって、BC上で円の内側にある弦の長さは 9−3=6cmです。
B側の斜辺の弦
Bから見たBCの2つの交点までの距離は3cmと9cmなので、方べきは、
3×9=27。
図で与えられたBから円までの斜辺上の外部部分は2.7cmです。斜辺上の円との交点を近い方・遠い方とすると、
2.7×(遠い交点までの長さ)=27
より、遠い交点までの長さは10cm。円の内側の弦は、
10−2.7=7.3 cm。
C側の斜辺の弦
Cから見たBCの交点までの距離は1cmと7cmなので、方べきは7です。外部部分が0.7cmだから、
0.7×(遠い交点までの長さ)=7
より、遠い交点までの長さは10cm。円の内側の弦は、
10−0.7=9.3 cm。
太線で示された3本の弦の合計は、
6+7.3+9.3=22.6 cm。
選択肢では22.5cmが最も近いので、正解は (4) 22.5cm です。
この問題は図を実測する問題ではありません。円の移動からBCとの交点を計算し、そこから方べきの定理で斜辺の弦を出します。
問25 正解:(4) 〔平行四辺形のベクトル〕
平行四辺形で、
AB=u,AD=v
と置きます。対角線の交点Oは中点なので、
OB=2u−v,BO=2v−u。
また、
CD=−u,AD=v。
したがって、左辺は、
CD−AD−OB=−u−v−2u−v=2−3u−v。
選択肢(4)は、
BA+CD−BO=−u−u−2v−u=2−3u−v
となり、左辺と一致します。正解は (4) です。
R9総合の使い方
R9のPart IIは、数学10問、物理9問、地学2問の主問題です。連問を解答単位で分けると26単位になりますが、試験対策ではまず主問題ごとに、次の順で解き直すと効率がよいです。
- 公式問題を時間を測って解く
- 間違えた問題を、科目ではなく「使う型」で分類する
- 式を書かずに答えを見た問題は、正解でも解き直す
- 物理は図を描き、数学は定義域・符号・単位を確認する
R9の出題範囲、旧年度との比較、過去問の優先順位は総合(数学・物理・地学)の頻出単元とR9本番で整理しています。
公式資料は次のとおりです。
※このページの正解・解説は、公開された公式問題をもとにした航空大学校受験NETの独自解答です。公式の正答表ではありません。図の読み方や別解についてご意見があればお問い合わせから知らせてください。