航空大学校受験NET 掲載用/受験生向け詳細解説
出典:令和7年度入学試験問題「総合 Part II」(問21〜問45・全25問・150点)
構成:問21〜24=社会・時事/問25〜26=地学/問27〜35=物理/問36〜45=数学
※各問の配点は6点(連問(a)(b)は各3点)。
正解一覧(早見表)
問21 正解:(4) 〔社会・中東和平〕 難易度:標準
日本の中東和平に関する基本的立場(令和2年時点)の穴埋め。
日本は「イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する二国家解決」を支持している。
- (ア)=イスラエル、(イ)=パレスチナ、(ウ)=二国家解決。
- 「政治対話・信頼醸成・パレスチナ人への経済的支援の3本柱」「平和と繁栄の回廊」も日本の中東和平政策のキーワード。
→ (4)。「アラブの春」(2010年代の民主化運動)は別物なのでひっかけ。
問22 正解:(1) 〔社会・米国政治制度〕 難易度:標準
(ア)〜(オ)の正誤。
- (ア)=正:大統領選は一部の州(メイン・ネブラスカ)を除き「勝者総取り方式(winner-take-all)」。
- (イ)=誤:大統領の任期は4年(5年ではない)。3選禁止は正しいが任期が誤り。
- (ウ)=誤:軍の最高司令官(commander-in-chief)は大統領であり、国防長官ではない。
- (エ)=正:三権分立(立法・行政・司法)と抑制と均衡の原則。
- (オ)=誤:米国は50の州とコロンビア特別区から構成(52ではない)。
→ 正・誤・誤・正・誤 = (1)。
問23 正解:(2) 〔社会・特定技能(航空分野)〕 難易度:難
(ア)〜(ウ)の正誤。
- (ア)=正:航空分野の特定技能の業務区分は「空港グランドハンドリング業務」と「航空機整備業務」の2つ。
- (イ)=誤:航空分野の5年間(令和6年3月まで)の受入れ見込み数(上限)は約1,300人であり、「13,000人を上限」という数字が誤り。
- (ウ)=誤:航空分野の技能実習2号を良好に修了した者は技能試験・日本語試験が免除される。「2つの試験に合格する必要がある」は誤り。
→ 正・誤・誤 = (2)。
確実に切れるのは(ウ)(技能実習2号修了=試験免除)。ここを核に正答を絞るのが安全。
問24 正解:(5) 〔航空・非常脱出〕 難易度:標準
非常脱出時の注意事項の穴埋め。
- (ア)=ハイヒール:履いたままの脱出はスライドを傷つける。
- (イ)=脱出スライド:損傷すると使用できなくなる。
- (ウ)=乗務員:その指示に従う。
- (エ)=援助者:スライド下での援助者の協力が負傷を減らす。
→ ハイヒール・脱出スライド・乗務員・援助者 = (5)。
問25 正解:(5) 〔地学・エルニーニョ現象〕 難易度:標準
- (ア)=高く:エルニーニョは赤道太平洋東部(南米沖)の海水温が平年より高くなる現象。
- (イ)=低下:西太平洋熱帯域では海水温が低下し対流活動が不活発に。
- (ウ)=弱く:日本付近の夏は太平洋高気圧の張り出しが弱くなる。
- (エ)=低く:気温が低くなる傾向(冷夏)。
→ 高く・低下・弱く・低く = (5)。
エルニーニョ=日本は「冷夏・暖冬」傾向、ラニーニャ=「猛暑・厳冬」傾向。セットで覚える。
問26 正解:(3) 〔地学・気団〕 難易度:標準
誤っているものを選ぶ。
- (1) 気団の定義(水平数百〜数千km・一様な気温湿度)→ 正しい。
- (2) 小笠原気団=高温多湿・盛夏 → 正しい。
- (3) シベリア気団=低温で「湿潤」→ 誤り。 シベリア気団は低温で乾燥。日本海を渡る際に水蒸気を含んで雪を降らせるが、気団そのものは乾燥。
- (4) オホーツク海気団=低温湿潤・梅雨 → 正しい。
- (5) 揚子江気団=温暖乾燥・春秋の移動性高気圧 → 正しい。
→ 誤りは (3)。
問27 正解:(5) 〔物理・力のモーメント〕 難易度:やや難
推力 T による点G(重心)まわりのモーメントを問う。
ポイント:図の推力 T は機体の中心軸(重心Gを通る一点鎖線)に沿って働いている。力の作用線が基準点Gを通る場合、その力のモーメントは0(モーメントの腕=0)。
距離 L や角度 30° は「使いたくなる」ダミーであり、作用線がGを通る以上モーメントには寄与しない。
→ (5) 0。
「数字が与えられている=使う」とは限らない。まず作用線と基準点の位置関係を見る。
問28 正解:(2) 〔物理・等加速度運動〕 難易度:標準
小型ジェット機:質量 m=4.00 t =4000 kg、推力 20.0 kN =20000 N。
a=mF=400020000=5.0 m/s2。20秒後の距離 =21at2=21⋅5.0⋅202=1000 m。
電気自動車:0→100 km/h(=27.8 m/s)に5.00秒。a=5.027.8=5.56 m/s2。
20秒後 =21⋅5.56⋅202≈1111 m≈1,100 m。
→ ジェット機 約1,000 m/自動車 約1,100 m = (2)。
問29 正解:(3) 〔物理・無重力での質量測定〕 難易度:やや難
無重力では重さ(mg)が使えないので、重力を利用する静的な方法(A・B・C)はすべて不可。
質量=慣性を測るには「既知の加速度(または円運動)を与えて慣性力を測る」必要がある。
- D:天秤に分銅と共に載せ既知の加速度で動かす → 両側に同じ a がかかり ma を比較できる(慣性天秤)。○
- E:バネばかりで既知の周期・半径の等速円運動 → 向心力 mω2r を測れる。○
- F:体重計に載せ既知の加速度で動かす → 力 ma を測れる。○
→ D・E・F = (3)。
問30 正解:(3) 〔物理・斜方投射〕 難易度:やや難
なめらかな斜面(30°・長さ20 m)を初速20 m/sで上向きに打ち出す。g=10。
斜面上の減速度 =gsin30°=10×0.5=5 m/s2。
速度が0になるまでの距離 =2av2=2⋅5202=40 m。これは斜面の長さ20 mより長い。
→ 質点は斜面の先端(20 m地点)に達しても止まっておらず、斜面を飛び出す。
飛び出すときの速さ:v2=202−2⋅5⋅20=200、v=200≈14.1 m/s(仰角30°)。
その後は放物運動(斜め上に飛び出して放物線を描いて落下)。
→ 斜面を上り切ってから放物線を描く図 = (3)。
「斜面上で止まって戻る((1))」と早合点しないこと。止まる前に斜面端に到達するのがポイント。
問31 正解:(4) 〔物理・断熱変化〕 難易度:やや難
V=2.50×10−2 m³、n=1.00 mol、T=280 K、単原子分子。断熱(熱の出入りなし)でピストンが W=2.00×102 J の仕事を加える。R=8.31。
初期圧力:P=VnRT=2.50×10−21.00×8.31×280=0.0252326.8≈9.31×104 Pa。
仕事後の温度:断熱なので Q=0、ΔU=W=200 J。単原子分子は ΔU=23nRΔT より
ΔT=23×1.00×8.31200=12.47200≈16 K.
T′=280+16=296 K。
→ 9.31×104 Pa、296 K = (4)。
問32 正解:(2) 〔物理・音波の屈折〕 難易度:難
音速は気温が高いほど速い。音波は音速の遅い(=低温の)側へ屈折する。
- 日中:気温が高度とともに低下(上空ほど低温=遅い)→ 音は上向きに屈折 → 図Bの (イ)。
- 夜間:気温が高度とともに上昇(逆転層)(地表ほど低温=遅い)→ 音は下向きに屈折 → 図Bの (ウ)。
→ 日中=(イ)、夜間=(ウ) = (2)。
夜に遠くの音がよく聞こえるのは、放射冷却で逆転層ができ、音が地面側へ屈折して戻ってくるため。
問33 正解:(1) 〔物理・直線電流とコイルに働く力〕 難易度:やや難
直線導線と1辺1 mの正方形コイル(左辺が距離 r)。両者に1 Aが流れる。
コイルが受ける合力は、導線に近い左辺と遠い右辺(r+1)に働く力の差(上下の辺は打ち消し)。
平行電流間の力 ℓF=2πdμ0I1I2 より、合力は
F∝r1−r+11=r(r+1)1.
- r=1:1⋅21=21
- r=2:2⋅31=61
倍率 =1/21/6=31。
→ (1) 31 倍。
問34 正解:(a)→(2)、(b)→(2) 〔物理・コンデンサ回路〕 難易度:やや難
左ノードP・右ノードQの間に3本の枝が並列:①C3、②E2(4.0 V)+C2、③E1(5.0 V)+C1。
定常状態では電流が流れない。右ノードQは3つのコンデンサの極板だけにつながる孤立導体なので、Qに集まる電荷の総和は0。
VQ=0、VP=U とし、各コンデンサのQ側極板電荷の和=0:
−C3U−C2(U−E2)−C1(U−E1)=0.
−6U−3(U−4)−2(U−5)=0⇒−11U+22=0⇒U=2 V。
(a) C1にかかる電圧は ∣U−E1∣=∣2−5∣... → 計算すると各極板電位から VC1=3 V。
電気量 Q1=C1VC1=2.0μF×3V=6.0μC。
→ (a)=(2) 6.0 μC。
(b) C3にかかる電圧は U=2 V。静電エネルギー
UC3=21C3U2=21×6.0×10−6×22=1.2×10−5 J.
→ (b)=(2) 1.2×10⁻⁵ J。
問35 正解:(1) 〔物理・抵抗回路〕 難易度:やや難
ブリッジ状の回路。左上P(+)・右Q・左下R(−)とすると、
- P→Q:上の10Ω と(5Ω+10Ω=15Ω)の並列 = 2510×15=6 Ω。
- Q→R:下の 5Ω+5Ω=10Ω(直列)。
- 全体 6+10=16 Ω、電流 I=16V。
VR=0, VP=V として、VQ=I×10=1610V。
- 点a(15Ω枝の5Ωと10Ωの間):Va=VP−15VP−VQ×5=87V。
- 点b(下の5Ωと5Ωの間):Vb=VR+I×5=165V。
Vab=Va−Vb=87V−165V=169V=18 ⇒ V=32 V.
→ (1) 32 V。
問36 正解:(4) 〔数学・三角関数〕 難易度:標準
sinθ+cosθ=31(2π<θ<π)のとき 3(sinθ−cosθ)。
両辺2乗:1+2sinθcosθ=91⇒sinθcosθ=−94。
(sinθ−cosθ)2=1−2sinθcosθ=1+98=917。
第2象限では sinθ>0, cosθ<0 なので sinθ−cosθ>0。よって sinθ−cosθ=317。
3(sinθ−cosθ)=3⋅317=17.
→ (4) 17。
問37 正解:(5) 〔数学・対数方程式〕 難易度:標準
log2(x2+4x−1)−log2(2x+5)=2(x>1)。
log22x+5x2+4x−1=2⇒2x+5x2+4x−1=4。
x2+4x−1=8x+20⇒x2−4x−21=0⇒(x−7)(x+3)=0。
x>1 より x=7(真数も正で適)。
→ (5) 7。
問38 正解:(a)→(3)、(b)→(1) 〔数学・三角関数の和〕 難易度:標準
(a) sinθ+sin(θ+32π)+sin(θ+34π)。
120° ずつ位相のずれた3つの単位ベクトルの和は0(正三角形状に打ち消す)。
→ (a)=(3) 0。
(b) cosθ+cos(θ+2π)+cos(θ+π)+cos(θ+23π)
=cosθ−sinθ−cosθ+sinθ=0。
→ (b)=(1) 0。
問39 正解:(2) 〔数学・正方形と点〕 難易度:やや難
正方形ABCDの面上の点Pで PB=1, PC=5, PD=7。面積を求める。
B(0,0),C(s,0),D(s,s),A(0,s)、P(x,y) とおく。
- PB2=x2+y2=1
- PC2=(x−s)2+y2=25⇒s2−2sx=24
- PD2=(x−s)2+(y−s)2=49⇒s2−2sy=24
下2式より x=y。PB2 から 2x2=1, x=y=21。
s2−2s⋅21=24⇒s2−2s−24=0⇒s=22+98=42。
面積 =s2=(42)2=32。
→ (2) 32。
ブリティッシュ・フラッグの定理 PA2+PC2=PB2+PD2 から PA=5 も分かるが、面積は座標で押すのが確実。
問40 正解:(2) 〔数学・接線〕 難易度:標準
y=21(ex+e−x)=coshx。y′=21(ex−e−x)=sinhx。
傾き1:sinhx=1。
cosh2x−sinh2x=1 より y2−1=1⇒y2=2⇒y=2(y>0)。
→ (2) 2。
問41 正解:(2) 〔数学・定積分〕 難易度:標準
∫013−2x2xdx。
u=3−2x2, du=−4xdx(xdx=−41du)。x:0→1 で u:3→1。
=41∫13u−1/2du=41[2u]13=41(23−2)=23−1.
→ (2) 23−1。
問42 正解:(a)→(1)、(b)→(2) 〔数学・指数の大小〕 難易度:標準
(a) 底 0.3 (<1) の指数は指数が大きいほど値が小さい。
指数を比較:8, −8, 0, −0.08, 0.8。最大は 8。よって最小値は 0.38。
→ (a)=(1) 0.38。
(b) 指数を12にそろえる:
248=1612, 336=2712, 524=2512, 712=712, 96=312。
底が最大なのは 27。よって最大は 336。
→ (b)=(2) 336。
問43 正解:(5) 〔数学・接線〕 難易度:標準
原点を通る直線 y=ax が放物線 y2=100(x−1) に接する。正の a を求める。
y=ax を代入:a2x2=100(x−1)⇒a2x2−100x+100=0。
接する条件は判別式0:1002−4a2⋅100=0⇒10000=400a2⇒a2=25⇒a=±5。
正のもの a=5。
→ (5) 5。
問44 正解:(3) 〔数学・空間の2直線の最短距離〕 難易度:やや難
直線 m:(4,0,−2)+t(1,2,1)、直線 n:(5,−5,−1)+s(−1,1,1)。
PQ=Q−P=(1−s−t,−5+s−2t,1+s−t)。
最短のとき PQ は両方向ベクトルに垂直:
- PQ⋅(1,2,1)=0⇒2s−6t=8
- PQ⋅(−1,1,1)=0⇒3s−2t=5
解いて t=−1, s=1。このとき PQ=(1,−2,3)。
∣PQ∣=1+4+9=14.
→ (3) 14。
問45 正解:(3) 〔数学・直角三角形の内接円〕 難易度:標準
内接円の接点P(BC上)、Q(CA上)、R(AB上)。接線の長さは頂点ごとに等しい。
CP=CQ=6。BC=BP+PC=15⇒BP=BR=9。
各頂点からの接線長を x(A)、9(B)、6(C)とすると、辺は CA=x+6, AB=x+9, BC=15。
最長辺 BC=15 が斜辺(直角はA)として三平方の定理:
(x+6)2+(x+9)2=152.
2x2+30x+117=225⇒x2+15x−54=0⇒(x−3)(x+18)=0⇒x=3。
辺は CA=9, AB=12, BC=15(92+122=152 ✓)。
内接円半径 r=s面積=(9+12+15)/221⋅9⋅12=1854=3。
円の面積 =πr2=9π。
→ (3) 9π。
直角三角形の内接円半径は r=2a+b−c(c=斜辺)でも出せる:r=29+12−15=3。
出題分析メモ(指導用)
- 社会・時事(問21〜24):中東和平・米国政治・特定技能(航空)・非常脱出。航空関連の制度知識(特定技能の業務区分・試験免除、非常脱出手順)が頻出。問23は難で、確実に切れる選択肢(試験免除=(ウ)誤)から攻める。
- 地学(問25・26):エルニーニョ(冷夏・暖冬)と気団(シベリア=低温乾燥がひっかけ)。基本知識で確実に。
- 物理(問27〜35):問27(作用線が重心を通る→モーメント0)、問30(斜面端に達して飛び出す)、問32(逆転層で音が下に屈折)は概念のひっかけ。問31・問34・問35は典型計算。問34はコンデンサ回路の孤立ノードの電荷保存がカギ。
- 数学(問36〜45):三角関数(和=0、対称式)、対数方程式、指数の大小、微積(接線・定積分)、空間ベクトル、内接円とバランス良く出題。問39は座標で、問44は「最短⇔垂直」で機械的に解ける。
※本解説の正解・解説は出題文・図に基づき作成。時事系(問21〜24)は出題時点(令和2年・令和6年前後)の事実に基づく。