航空大学校受験NET 掲載用/受験生向け詳細解説
出典:令和5年度入学試験問題「総合 Part II」(問21〜問45・全25問・150点)
構成:問21〜24=社会・時事/問25〜26=地学/問27〜35=物理/問36〜45=数学
※各問の配点は6点(連問(a)(b)は各3点)。
正解一覧(早見表)
問21 正解:(4) 〔社会・NATO(地図)〕 難易度:やや難
地図の(ア)〜(エ)(2022年4月1日時点のNATO加盟国)。
- (ア)=日本:NATO非加盟。
- (イ)=トルコ:NATO加盟(1952年〜)。
- (ウ)=ポーランド:NATO加盟(1999年〜)。
- (エ)=エジプト(東地中海南岸):NATO非加盟。
加盟国は (イ)トルコ・(ウ)ポーランド。
→ (4) (イ),(ウ)。
日本((ア))と中東・北アフリカの国((エ))を非加盟として外す。トルコがNATO(地理的に中東寄りだが加盟国)という点がポイント。
問22 正解:(5) 〔社会・最高裁判所裁判官国民審査〕 難易度:標準
(ア)〜(ウ)の正誤。
- (ア)=誤:国民審査は憲法第79条に規定(第9条は戦争放棄)。
- (イ)=誤:この制度でこれまでに罷免された裁判官は0人(1人ではない)。
- (ウ)=誤:辞めさせたい裁判官に「×」を書く制度。辞めさせたくない裁判官には何も書かない(白票が信任)。「〇」を書くと無効票になる。
→ 誤・誤・誤 = (5)。
問23 正解:(5) 〔社会・選挙制度〕 難易度:やや難
(ア)〜(エ)の正誤。
- (ア)=誤:参議院議員の被選挙権は満30歳以上(25歳ではない。25歳は衆議院)。
- (イ)=正:比例代表はドント方式(各党の得票を1,2,3…で割り商の大きい順に配分)。提唱者ドントの名による。
- (ウ)=誤:衆議院の定数465は小選挙区289>比例代表176で、小選挙区の方が多い。
- (エ)=正:参議院選挙区は原則各都道府県(一部合区)単位、比例代表は全国を通じて選出。
→ 誤・正・誤・正 = (5)。
問24 正解:(3) 〔航空・空中発射ロケット〕 難易度:標準
改修したボーイング747-400から人工衛星搭載ロケットを「水平型」で空中発射する計画(米ヴァージン・オービット社)。日本国内の打ち上げ拠点空港は大分空港。
→ (3) 大分空港。
種子島((4))は地上の垂直打ち上げ拠点(JAXA)で混同しやすいが、空中発射の水平型拠点は大分空港。
問25 正解:(4) 〔地学・酸性雨〕 難易度:標準
- (ア)=5.6以下:pHが約5.6以下の雨を酸性雨という(CO₂が溶けた雨水の平常値が約5.6)。
- (イ)=火山活動:化石燃料の燃焼や火山活動などで放出。
- (ウ)=窒素酸化物:硫黄酸化物(SOx)と窒素酸化物(NOx)が起源。
→ 5.6以下・火山活動・窒素酸化物 = (4)。
問26 正解:(3) 〔地学・天気図と衛星可視画像〕 難易度:やや難
天気図(ア)(イ)と衛星画像(ウ)(エ)(オ)を同時刻で対応づける。
- 天気図(ア)=西高東低(冬型):強い等圧線、北東に発達した低気圧。→ 日本海側に筋状雲、太平洋側は晴れ。
- 天気図(イ)=前線を伴う温帯低気圧が日本付近:低気圧と前線が日本上空 → 日本全体に広く雲(コンマ状の雲域)。
- 衛星(ウ)=日本付近を広く覆う雲域(低気圧の雲)→ (イ)に対応。
- 衛星(オ)=渦巻状の台風だが、どちらの天気図にも台風はない → ダミー。
→ (3) (イ),(ウ)。
「低気圧+前線が日本上空 → 日本に広く雲」が決め手。台風画像(オ)は天気図に対応がなく除外。
問27 正解:(3) 〔物理・重心と支持面〕 難易度:標準
円形テーブルが円周上に等間隔の3本脚(正三角形の支持)で支えられている。重い花瓶をどこに置くと最も安定するか。
ポイント:物体(テーブル+花瓶)の重心が3本の脚で作る三角形(支持多角形)の内部にあるほど倒れにくい。最も安定するのは支持三角形の重心(中心)。各脚に均等に荷重がかかり、どの辺(倒れる軸)からも最も遠い。
図の◦印のうち中心(重心)に最も近いのは (3)。
→ (3)。
問28 正解:(5) 〔物理・斜面上の見かけの重力〕 難易度:やや難
なめらかな(摩擦なし)60°斜面を滑走する台車に乗ったAさんが感じる力。
斜面に沿って加速度 a=gsin60° で滑り落ちる。座席からの垂直抗力が「感じる体重」。斜面に垂直な方向のつり合いより
N=mgcos60°=mg×21=21mg.
→ 体重の2分の1を感じる = (5)。
自由落下(垂直)なら無重力(0)。斜面ではその中間で、cosθ 倍の見かけの体重。
問29 正解:(2) 〔物理・v-tグラフ〕 難易度:基本
等加速度直線運動なので v-tグラフは直線(v0 から v1 へ)。移動距離はv-tグラフとt軸で囲まれた面積(台形全体)。
直線で、t=0〜t1 の下側全体(台形)が塗られた図 = (2)。
((5)は曲線=等加速度でないので不適、(1)(3)(4)は面積の一部のみ)
→ (2)。
問30 正解:(3) 〔物理・ばねを介した弾性衝突〕 難易度:やや難
ばね(エネルギー損失なし)を介する衝突=弾性衝突。質量 mA,mB、Aの初速 vA、B静止。
vA′=mA+mBmA−mBvA,vB′=mA+mB2mAvA.
- (1) mA=mB:vA′=0 → 正。
- (2) mA=mB:vB′=vA → 正。
- (3) mA=2mB:vB′=3mB2⋅2mBvA=34vA(≠2vA)→ 明らかに誤り。
- (4) mA<mB:vA′<0(跳ね返る)、vB′>0 → 互いに逆向き、正。
- (5) 弾性衝突では vA′=vB′ となる質量比は存在しない → 正。
→ 明らかに誤りは (3)。
問31 正解:(3) 〔物理・熱力学第一法則〕 難易度:標準
3 mol 単原子分子、気体が仕事 W=1200 J をし、温度が 40 K 低下。R=6 J/(mol·K)。
ΔU=23nRΔT=23×3×6×(−40)=−1080 J.
第一法則 Q=ΔU+W気体がする仕事=−1080+1200=120 J。
→ (3) 120 J。
「気体が仕事をする」= W>0、温度低下= ΔU<0。それでも Q=+120 J(少し加熱されている)。
問32 正解:(5) 〔物理・弦の振動と音〕 難易度:標準
弦の振動数 f=2L1ρT(L=長さ、T=張力、ρ=線密度)。
- (1) 太い弦(ρ大)→ 低い音。誤り。
- (2) 気温 → 空気中の音速は変わるが弦の振動数(音の高さ)は変わらない。誤り。
- (3) 弦を短く押さえる(L小)→ 高い音。誤り。
- (4) 気圧 → 弦の振動数に影響しない。誤り。
- (5) 強く張る(T大)→ 高い音。正しい。
→ (5)。
問33 正解:(3) 〔物理・直流回路〕 難易度:難
左ループ(E1・R4・R1)と右ループ(E2・R5・R2)が中央の R3 でつながる回路。a点を0 Vとしてb点の電位を求める。
E1=8.0, E2=4.0, R1=R4=2.0, R2=R5=4.0, R3=8.0。
節点a(2枝のみ)でのKCLと、R1=R4 より
R4(0+E1)−VT+R10−VM=0 ⇒ VT+VM=E1=8.
節点b(2枝のみ)でのKCLと、R2=R5 より
R5(Vb+E2)−VT+R2Vb−VM=0 ⇒ 2Vb+E2=VT+VM=8.
よって 2Vb+4=8⇒Vb=2.0 V。
→ (3) 2.0 V。
R1=R4、R2=R5 の対称性のおかげで、R3 の値や枝電流を求めなくても a・b の節点方程式だけで Vb が決まる。
問34 正解:(a)→(2)、(b)→(2) 〔物理・コンデンサのはしご回路〕 難易度:やや難〜難
直列コンデンサ(上)と並列(シャント)コンデンサからなる「はしご型」。
(a) 図1(4個・2段):右端から合成。
右段:C と C の直列 =2C、これと節点のシャント C の並列 =C+2C=23C。
左段:直列 C と 23C の直列 =C+23CC⋅23C=53C。
→ (a)=(2) 53C。
(b) 図2(無限段):合成容量を X とすると、1段進めても同じ形なので
X=C+(C+X)C(C+X) ⇒ X2+CX−C2=0 ⇒ X=25−1C.
→ (b)=(2) 25−1C(黄金比!)。
問35 正解:(2) 〔物理・SI基本単位による表現〕 難易度:やや難
電圧 V = m²·kg·s⁻³·A⁻¹ を基準に組み立てる。
- (ア) 電力 W = V·A = m²·kg·s⁻³。
- (イ) インダクタンス H = V·s/A = m²·kg·s⁻²·A⁻²。
- (ウ) 静電容量 F = A·s/V = m⁻²·kg⁻¹·s⁴·A²。
→ (2)。
W=VA、H=AV⋅s、F=VC=VA⋅s から機械的に導ける。
問36 正解:(2) 〔数学・対数の最小値〕 難易度:標準
f(x)=log3x+logx9(x>1)。t=log3x>0 とおくと logx9=t2 なので
f=t+t2 ≥ 22(相加・相乗平均).
等号は t=2、すなわち log3x=2⇒x=32。
→ (2) 32。
最小「値」は 22 だが、問われているのは最小をとる x の値(=32)。
問37 正解:(4) 〔数学・三角形の内心〕 難易度:やや難
A(0,3),B(−4,0),C(2,0)。各辺の長さ(対辺):
a=BC=6,b=CA=4+9=13,c=AB=16+9=5。
内心 I=a+b+caA+bB+cC:
X=11+136⋅0+13(−4)+5⋅2=11+1310−413,Y=11+136⋅3=11+1318.
X−Y=11+13−8−413=108(−8−413)(11−13)=108−36(13+1)=3−1−13.
→ (4) 3−1−13。
問38 正解:(1) 〔数学・領域の面積〕 難易度:やや難
x2+y2≤4(半径2の円の内部)かつ y≥x2−2(放物線の上側)。
交点:x2=y+2 を円に代入 ⇒y2+y−2=0⇒y=1,−2。y=1 で x=±3、y=−2 で x=0。
S=∫−33[4−x2−(x2−2)]dx.
∫−334−x2dx=3+34π、∫−33(x2−2)dx=−23。
S=(3+34π)−(−23)=33+34π.
→ (1) 33+34π。
問39 正解:(1) 〔数学・平行線と三角比〕 難易度:やや難
AB∥A′B′、BC∥B′C′。BとB'の水平距離を d とする。
- B から A'B'(水平と角 θ1)へおろした垂線 a1=dsinθ1。
- B' から BC(水平と角 θ2)へおろした垂線 a2=dsinθ2。
よって
a1a2=sinθ1sinθ2.
→ (1)。
問40 正解:(2) 〔数学・三角関数〕 難易度:標準
2π<θ<π、sinθ+cosθ=31。
両辺2乗:1+2sinθcosθ=31⇒sinθcosθ=−31。
(cosθ−sinθ)2=1−2sinθcosθ=1+32=35。
第2象限では cosθ<0, sinθ>0 なので cosθ−sinθ<0。よって
cosθ−sinθ=−35.
→ (2) −35。
問41 正解:(1) 〔数学・2次関数の平行移動〕 難易度:標準
f(x)=x2+4x−6。y=f(x+a)+b=x2+(2a+4)x+(a2+4a−6+b)。
2点 (−6,−5),(−1,10) を通る:
- 36−6(2a+4)+C=−5⇒C=−17+12a
- 1−(2a+4)+C=10⇒C=13+2a
(C=a2+4a−6+b)。連立して −17+12a=13+2a⇒a=3、C=19⇒b=4。
→ (1) a=3, b=4。
問42 正解:(3) 〔数学・因数分解〕 難易度:やや難
x について整理:
- x2 の係数:y+1
- x の係数:−(2y2+3y+1)=−(2y+1)(y+1)
- 定数:4y2+2y−2=2(2y−1)(y+1)
よって全体に (y+1) が共通因数:
(y+1)[x2−(2y+1)x+2(2y−1)]=(y+1)(x−2)(x−2y+1).
→ (3) (y+1)(x−2)(x−2y+1)。
x の2次式とみて整理 → 共通因数 (y+1) をくくる → 残りを因数分解、の順が確実。
問43 正解:(5) 〔数学・ベクトルのなす角〕 難易度:標準
∣a∣=43, ∣b∣=6, ∣a+b∣=23。
∣a+b∣2=∣a∣2+∣b∣2+2a⋅b より
12=48+36+2a⋅b⇒a⋅b=−36.
cosθ=43⋅6−36=243−36=−23⇒θ=65π.
→ (5) 65π。
問44 正解:(5) 〔数学・6次関数の極値〕 難易度:やや難
f(x)=2x6−15x4+24x2。
f′(x)=12x5−60x3+48x=12x(x2−1)(x2−4)=12x(x+1)(x−1)(x+2)(x−2)。
極値の候補 x=0,±1,±2。f′ の符号変化より:
- x=±1:f′ が+→− → 極大。f(±1)=2−15+24=11。
- x=0, ±2:極小。f(0)=0, f(±2)=128−240+96=−16。
→ (ア)=−1,1、(イ)=11、(ウ)=−2,0,2 = (5)。
問45 正解:(a)→(1)、(b)→(3) 〔数学・対称式〕 難易度:標準
x+x1=3。
(a) (x+x1)2=x+2+x1=9⇒x+x1=7。
→ (a)=(1) 7。
(b) xx+xx1=(x)3+(x1)3=(x+x1)3−3(x+x1)=27−9=18。
→ (b)=(3) 18。
出題分析メモ(指導用)
- 社会・時事(問21〜24):NATO(地図)・国民審査・選挙制度・空中発射ロケット。地図問題と制度の細部(被選挙権30歳、×を書く国民審査、衆院は小選挙区の方が多い)が狙い目。
- 地学(問25・26):酸性雨(pH5.6・SOx/NOx)と天気図⇔衛星画像の対応。冬型=筋状雲、低気圧=広い雲域、台風はダミー。
- 物理(問27〜35):問28(斜面で cosθ 倍の見かけ重力)、問30(弾性衝突の公式)、問33(対称回路の節点法)、問34(はしご型・黄金比)が要注意。問35はSI組立単位を W=VA, H=Vs/A, F=As/V から導く。
- 数学(問36〜45):対数・内心・領域の面積(積分)・三角比・因数分解・ベクトル・6次関数の極値と多彩。問37の内心は加重平均公式、問42は x の2次式として整理、問45は対称式(3乗の公式)が鍵。
※本解説の正解・解説は出題文・図に基づき作成。時事系(問21〜24)は出題時点(令和4〜5年前後)の事実に基づく。